虹の向こう側  13編


石抜き

どの家にも 基礎の下には

石が据えられている

 

家をとり壊し 建て直すとき

まず、石抜きの術を 施さねばならない

 

いったん 石の魂を 抜くのだ

 

 

石は

家によって、様々だが

純度の高い 石英が もっぱら人気だった時代もある

 

 

さて、石抜きの術だが

これは 特殊な技術を持つ 術師でなければ 行えない

 

ただの術師が その真似事をして、家に喰われた・・・

なんて話も 伝説としては 残っている

 

今では、誰も知る人のいなくなった「石抜き」

 

どの家にも、その家なりの病理を 抱えるようになったのは

石抜き術師の存在が 闇に埋もれてしまったためでもあるが

家の基礎たる 「石」の存在さえ 忘れられたことが 

理由の大半を占めるだろう

 

新たな時代の

「石抜き術師」よ、今こそ 来たれ

2021/2/23


ひらいた門扉

大きく 開かれた扉から

解き放たれたものは あまりに多く

その名を ひとつひとつ 読み上げることはできないが

ひとまとまりの 「す」という音で

それらのすべてに さよならを 告げる

 

積み上げてきた「過去」「歴史」

そんなものが 形をいかようにも変化させ

「巣」を作っていたのだ

 2021/2/2


アーダスの咲いている野原

今日、8月22日、夜の9時1分

水瓶座で満月を迎える

 

太陽、獅子座29度

真向かいに月が水瓶座29度

 

最終度数29度

 

プラス1度でサビアンシンボルを読む

 

水瓶座30度のサビアンシンボルは

「アーダスの咲いている野原」

 

アーダスは架空の花

というよりは、この世で見ることのできない花

この世に咲かない花

 

だから

「アーダスの咲いている野原」は

「生きる前と死んだ後に行く、魂の場所」

 

「約束の場所」

 

誰もが、心のどこかで覚えている

懐かしい場所

 

 

前回の満月は

太陽、獅子座1度

月、水瓶座1度で起きた

 

つまり

 

同じ星座の始まりと終わりで

二度の満月を迎えたということ

まるで念押しのように

 

昨年12月22日に

水瓶座で木星と土星の会合(グレートコンジャンクション)が起きて

水瓶座時代の幕開けだと騒がれたことは

記憶に新しい

 

今日の、ちょうど半年前

今年の2月22日

太陽と月が、ともに水瓶座で新月を迎えた日

 

私は雷雨の夢を見た

 

暗い、どことも知れぬ土の地面に一人立つ私の

周囲を取り巻くように、雷がいくつも落ちた

私を中心に、ほんの2メートルほどの半径で

すぐそこで轟く雷鳴、落雷の爆音、稲光

 

怖さはなかった

雨に濡れることも、嫌ではなかった

 

雨があがったあとに、落雷の場所を見れば

地面が円形にえぐれていた

 

水瓶座新月に受け取ったメッセージを

水瓶座満月の今日、開封するのだろう

 

半年という期間に、自分が何を感じ、何を想い、何を考えてきたか、が

開封後のメッセージを決定するのだ

 

アーダスの咲く野原・・・

約束の場所から

私たちは、この人間世界に入ってきたのだ

この世界に産まれ出たのではなく

 

長雨の意味

 

生まれ変わる、この人生で何度でも

輪廻ではなく

自由へと

2021/8/22

 


予言書

生物進化の道筋をあらわした

系統樹は

予言書であったのだ

 

その発見に 驚きつつも

それを歓び、享受しよう

 

既に 決定済みでありながら

未知の世界を切り開くための

示唆に富んだ 予言書であった

 

無限と言っても過言ではないほどの

数多くのパラレルの世界が

そこに  現わされている

 2021/9/1


展覧会の絵

絵画に命を吹き込むのは

誰か?

 

平面であれ、立体であれ

そこに命の息吹を、ぬくもりを

感じているあなたは

どこにいるのか?

 

時の流れの中に存在するあなた

片時も静止することなく

変化し続けるあなたは「空」

 

いつも在る

いつも存在するあなたこそが

「空」そのもの

 

一見、何も無いように見えることが 大事

自分の中が空っぽに思えることが大事

 

空っぽになって、初めて

命のエナジーは

吹き込まれる

 

誰によって?

いつもいるあなたによって。

2021/9/10


What Are Words ?

至福は

特別なことだと 思っていた

 

それが当たり前な世界など

ありがたみがない、なんて

言う人もいるかもしれない

 

私たちは

あまりにも

不自由な心に 慣れてしまって

 

滅多に来ない 至福感を

奇跡のように 受け止めて

感謝の相手を 間違えていたのかもしれない

 

美しい音色に 聞きほれて

涙も 流れるままにして

あおぐ空、小鳥のさえずり

露に揺れる 草花と

毎朝 至福感にひたっても かまわないんだ

嵐の夜、でさえ

 

むしろ、これがナチュラル

 

これからのデフォルトは

至福

 

そこから どこに飛び立とうと

自由

 

いとしさに 言葉を失う

 

美しい音楽

うるわしい風景

かぐわしい花、草

 

いとしい人

 

わたし

あなた

 

 

What Are Words / The Piano Guys

2021/9/18


魚座満月

泳ぐ魚たちの群れを

追ってゆく

どこまでも どこまでも

 

波が

私の上を 通り過ぎていく

いくつも いくつも

 

導き手が 魚であることに

なんの疑念もない

智慧もののリーダーは いないのだ

魚の群れには

 

降り注ぐ 月の光と

透き通る 真っ黒な夜に 身を任せ

私は 泳ぐ

 

半年前

魚座で昇った新月が 

こうして 実りの時を迎えた

 

魚は、もう 決めていたのだ

私といっしょに 泳ぐことを

2021/9/21


青い馬は東へ向かうー死神のカード

青い馬の 背に つばさ

 

現世(うつしよ)の 

過去を踏み越え

未来を飛び越え

次元の扉を 次々と 開け放つ

幽世(かくりよ)の 力

 

青い馬に 私は乗ろう

 

青い馬は 東に向かう

2021/9/24


僕の向こうに

11月の 昼下がり

やさしい日だまりに 枯草が光る

 

君の向こうに 見える景色は

僕をいざなう

 

ただ ただ 

命が噴き上がっているだけの世界へと

 

向かい合う 僕たち

互いが 鏡のように映り合う姿も

悪くない

 

ねえ、君

僕の向こうに

何が見える?

 

2021/11/4


マリアじゃないか

波間に揺れる 一艘の小舟

月影 ゆらめく 夜の海

 

舟の上には 一組の男女の後ろ姿

 

髪の長い女が 男に身を寄せている 

男が 女の耳元に 何かささやいた

 

波音に混じって 女の笑う声が 鈴のようにころがる

 

「何故かって?・・・

ふふっ、知らないわ。理由なんて・・・。」

 

 

男は女に 何と問いかけたのだろう?

男の声は 聞こえない

 

 

 

月はしだいに傾き、やがて 水平線に隠れていった

 

しばしの 沈黙の後に 画面が切り替わる

 

 

 

砂浜を歩く 一人の女

朝日は もう 今にも顔を見せそうだ

その兆候は 充分すぎるほどに 砂浜に広がっている

 

女は 東を背にして こちらに向かって 歩いてくる

漆黒の髪、小麦色の肌、黒曜石の瞳

 

マリアじゃないか・・・・・・

 

それでは、さっきの小舟の女は、マリアだったのか

 

私は 驚く

男は どこへ消えた?

 

マリアの目に、私は映っていない

彼女は、私に向かって歩いてきているわけではなく

彼女のまっすぐな歩みを、私が勝手にそう捉えているだけなのだ

 

マリアは 独り言のように 呟き、笑う

 

「何故って?

おかしなことを 聞くのね

理由なんて あるわけないじゃない」

 

 

 

早朝の風に 透けるように薄い生地のスカートを ゆらめかせて

マリアは 砂浜を 歩く

裸足で

 

朝日は、マリアの背中から 今 まさに 昇るところだ

 

2016/07/12(Tue) 日記より

 

 

 

 

 

昨日、ふとしたことで

この詩を思い出し、夜中にゴソゴソと本棚の中から探しだしました。

 

2016年の7月に書いた詩ですが

詩というより、日記のような覚書と言った方がいいかもしれません。

その日の私の白昼夢で展開された出来事を文章化したものだからです。

 

ああ、やはりあれはマリアだったのだ、と

今、しみじみ思い出すのです。

 

マリアという名前は仮の名であり、他のどんな名前でも構わないのです。

あれから6年。

 

本日、2022年12月21日。

 

あと8時間ほどで冬至です。

明日の朝は、マリアの背中から、一陽来復の朝日が昇ります。

 

 2021/12/21


夢に漕ぎ出す帆掛け船

積み残しはないか?

毎夜、確認してからベッドに入る

 

その日 受け取った荷物や

請け負った仕事を

全て船に積み込んだか 確かめるのだ

 

昼間は

その場で対処していくが

解消しきれないものだって いくつかは ある

それは もう 

船に運び去ってもらうのが いい

だから

一切合切 積み込むのだ

 

順番なんて どうでもいい

もともと 事象に意味はないのだから

 

積み残しはないか?

船が出るぞ

眠りという大海に 小さな帆掛け船は

漕ぎ出だす

水平線のかなたを過ぎれば

あとは、もう ただ風のまにまに

 

2022/3/9


切り替わり完了の合図

100万のアドバイスも 効果がない

言葉が 君をすり抜けていくのが 見える

賢者の言葉 聖者の言葉

ありがたい言葉 救いの言葉

 

慰めの言葉・・・

 

口では

 

なんとでも言えるんだ

どんな解釈も可能だよ

それぞれが、それぞれの正義を背負っている限りはね。

 

もう いいんだよ

すべて忘れても

もちろん、かまわないさ

忘れられないものを 抱えたままでも。

 

君は飛べる

地球の中心に 向かってなら

 

そこに 本当の空が広がっている。

 

飛ぶことと 落ちること、そして潜ることは

 

どこかでリンクしている。

 

哀しみが愛ではないと 誰に言えるだろうか

君が君でなくなる以上の哀しみが 

どこにあるというのか

 

君が誰かになろうとするとき

哀しんでいるのは 君自身

 

君が 君自身の元へ還るとき

君の手は すべての人に差し伸べられる。

 

本日、2022年 7月9日 10時38分、切り替わり完了

 

2022/7/9


ただ、人間!

昔、こんなことをよく聞いた

 

「他人は変えられないけど、自分は変えられる」

「自分を変えれば、世界は変わる」

 

この偽ロジックを見抜けずに

自分を変えようとして苦しんだ人は

どれだけいただろう。

 

「そのままでいい」

と言うより以前に

そもそも 他人も自分も 管理などできない

 

足掻くことさえ 許されている

 

みんな ただ、人間なのだ

 

ただの人間ではなく

ただ、人間!なのだ

 

Just Me!

Just You!

2022/7/9

 


万華鏡

君に届けたくて

言葉を 紡ごうとした

 

硝子のように光る欠片を 見つけては

言葉の海に 手を差し入れる

 

両の手で すくい上げても

指の合間から こぼれ落ちてゆく 大切なもの

永遠に すくい続けても

掌に残る欠片だけでは 言葉は紡げない

 

そう 思っていた

 

こぼれ落ちたはずの 大切な何かを

すべて拾ってくれる はたらきが

君の側にあることを 知らなかった

 

本当は

何も落ちていない

何も欠けていない

 

一つの完全体の側面が 違う完全体の側面を見せるだけ

 

それは美しい 万華鏡

 

2022/7/9

 


「名」が自由に羽ばたくとき

君と僕とを 隔ててしまっていた

君の名前を

あらたな想いで 呼んでみる 

 

これまで、君の名を呼ぶとき

「君は私ではない」

と言っていたのと同じだね

 

すまなかったよ、君

ゆるしておくれ

 

君に贈ろう

君が名付けた 君の名を

 

名は 「祈り」

歌と同じ、「祈り」

 

分離の道具として生まれた「名付け」を

解き放つ

 

自由に羽ばたけるよう

 

今、今の真ん中で

 

2022/7/9


スカイ・ウォーカー

すらりと伸びた 二本の足で

宙を踏みしめて 歩く人

 

彼にとって

空は 大地と変わらぬ確かさで

足裏に 響く

 

どこまでも 歩み続ける

スカイ ウォーカー

 

赤い 空歩く人

 

2022/7/10


波紋

17年前に言われた、ある人の言葉が

昨年の夏、やっと聞こえた

彼は、私に小石を投げ入れたのだ

 

その波紋が広がって、広がって

私の全身に染み渡るのに

17年の月日が必要だったというわけだ。

 

それから更に一年経って、

彼の言葉は私の奥深くにまで達し

今、私の臓器をふるわせている。

 

2022/7/11


小石を投げる

君の横顔に 僕は 告げた

「夕日が 綺麗だ」

 

たった一言 だったけれど

君という川の流れに、ちっちゃな石を 投げ込むように

 

君は まだ気づかない

夕日を受けた君が どんなに輝いているかを

 

僕が投げた石の 作る波紋が ひろがって ひろがって

君の全身に行き渡るまで

 

僕は 待つんだ

 

2022/7/11


珈琲銀河

白いカップに 漆黒のコーヒーを 注ぎ入れ

銀のスプーンで クルクルっと混ぜたなら

あなたの銀河が 渦を巻き

輝きはじめる

 

見てごらん

本当のあなたは ここにいるの

2022/7/12

 


恐竜絶滅の理由

大きさ、強さを誇るより

鳥は「遊び」を選んだ

 

体のしくみをすべて組み換えて

驚くことに、呼吸のしくみまで変えて

 

歌い、舞うことを選んだ

 

 

重力に逆らったのではない

重力をものにしたのだ

 

だから地上でも空でも遊び心を発揮する

 

 

生命系統樹は、予言書だった

というわけだ

 

それが

・・・恐竜絶滅の理由

 

2022/7/13


饒舌と沈黙の間で

生きる意味を考えたり

本当の自分を探したくなるのは

自分を 憎んでしまったからではないのか

 

美化や 自己正当化して、

誤魔化さなくてはならないほどに

ただあるがままの自分を

見失ってしまったからではないのか

 

見せかけの自分を嫌いつつ、同時に

それが嘘だと暴かれることに恐怖して

 

でも、それもまた

あなたのせいではなく、親のせいでもなく

社会のせいでもなく、時代のせいでもない

「憎む」というループの中で起きている現象に過ぎない

 

賢さ、正義、誤魔化し、怖れ

自分を嫌いになるのに充分な方法を 身に着けて

 

それを成長と呼ぶなら

成長なんかしなくていい

 

本当の正しさを あなたは知っているのだから

 

イノセントでいたい

 

探す自分など どこにもいない

探す必要もないくらい 明白なことだ

 

 

Wind / Akeboshi

 

Don't try to live so wise.

Don't cry coz you're so right.

Don't dry with fakes or fears.

Coz you will hate yourself in the end.

 

 

2022/7/14